【MCNについて】これまでのまとめ

今回は、一度このブログの趣旨などについて振り返ってゆく内容にしたいと思う。
特に、初めてサイトに訪れる人が現在のネット上の動きについての知識を深めるきっかけになれば幸いだ。

 

▼MCNとは?

マルチチャンネルネットワークは、YouTubeのチャンネルをまとめる組織を指す。
強い影響力を持つ、いわゆる「YouTuber」たちをまとめ、支援するために設立されたものだ。
最も分かりやすい例は
「芸能人と芸能事務所」
の関係である。

芸能人=YouTuber
芸能事務所=MCN

過去記事: MCN(マルチチャンネルネットワーク)について

 

その中でも、最大手と呼ばれているのが「UUUM(ウーム)」である。
UUUM公式サイト
これを見ると、UUUMが単にYouTuberを管理しているだけではなく、イベントやグッズ販売など様々な活動を行っていることが分かるだろう。

過去記事: 日本最大のMCNである「UUUM」は最強のインフルエンサーマーケティング!

 

MCNに属するメリットなどについてまとめた記事も以前作成した。
こちらは所属するYouTuber側からのメリットという視点からの分析であり、より知名度を高めてゆくために重要なポイントとなるだろう。

過去記事: 【MCNのメリット】信用を得るためのMCN活用術

 

▼インフルエンサーとは?

ネット上で大きな影響力をもつ人を「インフルエンサー」と呼ぶ。
幅広く使われる言葉であり、YouTubeだけではなくTwitter、InstagramなどのSNSに特化しているケースも多い。

先ほどの例で言うと、テレビの芸能人だけではなくスポーツ、文学などの業界も含めてゆくイメージだろうか。

また、「マイクロインフルエンサー」はより小規模な影響を発揮する人物であり、
ファンの代表のような位置付けであることが多い。

過去記事: ココまで来ている!?インフルエンサーマーケ―ティングと乃木坂46

 

フォロワーが多ければ良いというものではなく、必要な人に必要な情報が届けられるか。
重要な要素は「つながり」だ。
マイクロインフルエンサーについての解説及び、影響力とファンとの繋がり(エンゲージメント)についての記事はこちら。

過去記事:【強い影響力と訴求力】マイクロインフルエンサーについて

 

今後も、このブログはMCNやインフルエンサーに関する情報を発信してゆく。

【ネットとリアルの融合】O2Oビジネスを考察する。

前回の記事で、
「オンラインの情報が現実の世界というオフラインに影響を与える」
という考え方について書いてきた。
その逆のケースもあり得る、つまり
「オフラインの情報がネットの世界というオンラインに影響を与える」
という場合だ。

これらをまとめて
O2O(Online to Offline)
と呼ぶ。
今や、このO2Oの動きは「融合」と言っても良いくらい大きな存在となってきている。

昔の商売は、個人から個人へ、企業から個人へ…などと
リアルとリアルとの結びつきだけだった。

もちろんネットを活用する例は、もう10年以上は行われていることではあるので
まったく新しい概念ということではない。
ただ、近年は新しいアプローチが思わぬ大きな結果につながることがあり
「こんな結びつきもあるのか!」
と驚くことも多い。

例を挙げるとキリが無いほどだが、いくつか見てゆこう。

▼コンビニの例

ローソンは、O2Oを活用する例として有名だ。
FacebookやTwitterなどのSNSにて、商品の割引券などを配布している。
アイデア自体は決して新しくはないが、ローソンはすでに20種以上のSNS上でサービスを展開しており
多の追随を許さない。

関連記事: O2O×ソーシャルメディアで全国1万店舗へ集客する、ローソン8つの活用事例

また、セブンイレブンはネットとリアルが相互に影響を与え合うというポイントに着目し
両者の強みをさらに引き出すビジネスモデルを構築中だ。
株式会社セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長はこう語る
「ネットを制するものは、今後リアルを制す」

関連記事: ネットとリアルの融合はセブン&アイグループの強み

 

▼モノを買う時にもネットを活用

次の例は、家具などを扱うホームセンターの「島忠」から。
島忠が開発したスマホアプリを使えば、購入前に自分の部屋に希望の家具を設置することが可能となる。
AR技術を使ったサービスだが、O2O体験を通じて購入時の不安感を減らすことにつながっている。

アパレル業界ではO2Oが特に盛んに取り入れられており、
例えば商品に付いているタグを読み込むと、スマートフォンに詳細情報が表示されるサービスも存在する。
今後はその商品の口コミなど、さらに得られる情報が増すと共に
「こういった商品が欲しい」など、要望や感想なども
こちらからネット上に発信してゆくようになるだろう。

「ネットのモノ」と「リアルのモノ」
その垣根は次第に近づいてゆき、いずれは両者の区別がつかなくなるような時代も来るのかもしれない。
技術的な課題も多いが、落合陽一氏が語る未来は刺激的だ。

関連記事: ネットの未来は、リアルとバーチャルが融合する世界。落合陽一さんインタビュー

 

▼リアルの強み「集客」をネットに反映させる例も

前々回の記事で見た大手MCNによる「uuum運動会」はYouTuberがリアルに集まっている点がポイントだった。
それぞれのYouTuberが運動会の様子をYouTube上に発信し、またそれが拡散してゆく…
uuumの幅広い活動に驚いた人も多いかもしれない。

今年4月に行われたニコニコ超会議や去年の12月に行われたモテワンコンテストもまた同じだ。
ニコニコ超会議では、様々なネットとリアルが融合したサービスが紹介されたり、
モテワンコンテストはリアルとネットが融合して進められるコンテストイベントとしてとても画期的なものだった。

関連記事: 日本初!ネットとリアルが融合するコンテスト「モテワンコンテスト2016

 

▼まとめ

今回は3つの例を紹介したが、O2Oに関しては他にも多くの試みが行われている。
リアルからネットへ
ネットからリアルへ
という行き来だけではなく、両者が強く結びつき、融合していると言っても良い状況は
今後も驚くような発展をして、私達の生活や消費行動をより変えていってくれるに違いない。

【uuumのイベント】「うまつり」とは?

日本最大のMCN(マルチ・チャンネル・ネットワーク)であるuuum(ウーム)は
様々なコンテンツをYouTubeに配信しているのはもちろん、
実際にファンやYouTuberが集まるイベントを積極的に行っている点も特徴的だ。

過去記事: MCN(マルチチャンネルネットワーク)について

今回は、uuumが主催するイベントの中でも
「う祭」と「運動会」について見てゆきたい。

■う祭(うまつり)とは?
大物YouTuberが登場し、ファンとの交流を図るイベントである。
すでに何回か実施されており、かなりの動員数を誇っている。

■uuum運動会とは?
こちらは規模は小さいものの、多数のYoutuberが集まるイベントだ。

▼uuumが行っている、フェス系イベント 「う祭」

「うさい」?
「うまつり」?

2017年4月8日、9日に行われた「う祭」は2日間で1万人が訪れる大規模なイベントとなった。

アバンティーズフィッシャーズHIKAKINSEIKIN
水溜りボンド関根理沙
などなど、人気クリエイターが一同に集まってファンとの交流を行うイベントとなり、
改めてuuumの力を感じる内容に仕上がっていた。

この「う祭」は2017年8月にまた予定されている

 

 

▼YouTuber同士の交流がメイン?uuum運動会

また、5月27日には「運動会」も行われた。
こちらは100人規模と言われているが、多くの動画がアップされており、
大好評の様子も伝わってくる。

 

 

▼両者の大きな違いは?

「う祭」「運動会」も、どちらもuuumによる大規模なイベントに見えるが
両者には大きな違いがあるようだ。

調べてゆくと2点、気づくことがあった。
まず一つは、運動会がファンとの交流目的ではなく
純粋に「YouTuberが集まるイベント」である、という点である。

そしてもう一点は、uuumのサイトにもあまり情報が載っていない点だ。
運動会についての動画は、それぞれのYouTuberが自分たちでアップしている。

各々のYouTuberは、他の動画を見ることによって編集技術やセンスなどを学ぶ機会にもなるのではないだろうか。
もしかしたらそれこそがuuumの裏の戦略の一つの可能性もある。

uuumの名を全面的に押し出している「う祭」と異なり、
運動会の企画にはあまりuuum自体は関与していないのではないのかもしれない。
オフィシャルの動画が存在しない点がそう強く思わせる。

▼まとめ

多くのYouTuberを抱え込み、そしてファンも集まるという
大きな力を持つMCN「uuum」。

今回は「う祭」「運動会」という異なる2つのイベントを見てゆく中で
今後のuuumがより新しい企画を打ち出してくるのではないかと感じた。

YouTuberの数が多く、個性も様々。超有名なクリエイターもいれば
まだまだこれからという人物も多い。
それだけターゲットを絞った戦略をピンポイントで打ち出しているのではないだろうか。
(ちなみに、運動会にはHIKAKINやはじめしゃちょーは参加していない)

uuumの内部では、そういった画期的な企画のアイデアが
数多く生まれてるのではないかと推測している。
クリエイター集団をまとめる内部の組織もまた、非常にクリエイトな空間になっているだろう。
今後の動きに注目したい。

【地方創生シリーズ③】沖縄の文化を伝える動画たち

沖縄県八重瀬町、その場所はご存知だろうか?

沖縄本島の南部に位置する八重瀬町は食も自然も豊富な町であり、那覇空港から車で30分ほど。
公式観光キャラクターはやえせのシーちゃん…そんな場所だ。

また、桜が有名な場所でもあり、町名の由来にもなっている「八重瀬岳」は
約500本の桜の木がある南部を代表する桜の名所となっている。

参考記事: 八重瀬町が全国でも注目の街?!ユニークな町おこし・観光PRの取り組みを全国へ発信!今週は桜まつりも開催。

 

農業が盛んな町であり、マンゴー、ドラゴンフルーツ、オクラ、ゴーヤ、ピーマン、紅芋などが有名だ。

カラフルな果物や野菜が生産されていることが特徴的であり、「カラベジ」をキーワードに町おこしが動き始めている。

カラフル+ベジタブル=カラベジ

というわけだ。

 

▼野菜・果物を紹介する動画も

そんな八重瀬町の名産を魅力的に紹介するコンテンツが、Junji Koyama氏が制作した動画である。

 

彼は様々な野菜を楽器に仕立て、演奏するYouTuberなのだが
今回は八重瀬町で採れたシークヮーサー、パパイヤ、ゴーヤ、スターフルーツなどを紹介している。
(もちろん最後はゴーヤチャンプルやサラダにして食べています)

このように、八重瀬町ではYouTubeを活用した取り組みを積極的に行っており
柔軟な戦略が敷かれているようだ。

参考記事: 沖縄観光発信にYouTuber起用 八重瀬の企業

 

▼カラベジプロジェクトとは?

食のイベントを通して生産者との接点づくりを行う「カラベジプロジェクト」は
八重瀬町のイメージアップと地域経済の活性化を目指すプロジェクトだ。
この様子は、八重瀬カラベジのサイトでも発信されている。

この中で注目されているのが、人気YouTuberとコラボして生み出された動画。
沖縄県内初の取り組みである。

そのひとつが、「カラフル家族~沖縄八重瀬町編」だ。
4つのストーリー通じて、八重瀬町の魅力を伝えている。

・獅子舞は怒ったママみたいだ…
・八重瀬の歴史を学ぶことにハマる6歳児
・老後は絶対ここに住みたい
・パパってピーマンに似てるよね♪inぐしちゃん朝市
という、少しシュールで面白いストーリーが作成されている。

これを作成する者はABTVnetworkというYouTuber。

uuumに属するYouTuberであり、様々な企業とのタイアップを行っている。
また、HikakinTVのオープニングアニメを作成していることでも有名である。

参考記事: アニメーションクリエイターチャンネル「ABTVnetwork」は一度見たら止まらない!

 

 

▼まとめ

このSNSの施策によって八重瀬町がどのくらい盛り上がったのかについてのデータは残念ながら得られなかったが、HikakinTVのオープニングアニメを制作するような人物が関わっていたことは驚きだった。
クリエイターの横のつながりなどを紐解いていくのも発見があり、面白い。

 

 

※余談だが、町の南東部に位置する「ぐしちゃん浜」では、PerfumeのMV撮影でも使われたことでも有名になった。

ファンがその地を実際訪れることも多くなるだろう。
これについてはまた次回。

 

【地方創生シリーズ】
①SNSを使った町おこしが国を活性化させる
②ふるさと納税とYouTuber

【男性が…?】「ナノニの法則」で作られるコンテンツ

このブログに訪れる人の中には、何かしらweb上でコンテンツを配信している人も多いかと思う。
今回は、どのようなコンテンツがより注目を集めやすいのか?という話題を掘り下げてみたい。

「注目を集めるコンテンツの作り方」として、
必ず取り上げられるシンプルな法則がある。

それは
○○なのに○○
である。

▼「○○なのに○○」でコンテンツは作られる

「意外な組み合わせ」
は人の注目を引き、興味を持たせる。
『のだめカンタービレ』『俺物語』『るろうに剣心』…
マンガやアニメでこの原則に基づいているものは多い。

参考記事: 超絶!ナノニの法則 ~○○なのになぜ成功?~

今回取り上げるのは、そんな
○○なのに○○
の一つ、『甘党男子』だ。

▼甘党男子とは?

スイーツ好き集まって形成されたこの「甘党男子」
もともとは「3illfy」というグループ名だったようだ
#3illfyは「ミルフィー」と読むとのこと

参考記事: 週8でスイーツを食べる甘党男子3人に聞く! 甘い物を食べても太らないコツってあるの?

上に挙げた記事を読むと、彼らが作られた存在などではなく
本当にスイーツが好きなことがよく伝わってくる。

男性視点でのスイーツの選び方に独自の視点があり
また、太らないためにもスイーツ以外の食べ物や運動についてもこだわりを持っている点などが
女性の人気を獲得してゆく秘訣なのだろう。

※ちなみに『甘党男児』神久保翔也さんは、以前紹介したイベント「モテワンコンテスト」にて美男No.1の座を獲得している。

 

▼これからの可能性に期待

まだYoutubeやInstagramにてバズるコンテンツを持つまでには至っていないが
火がつく可能性は大いにありそうだ。
ぜひ、性別に関係なく大きな話題になって欲しい。

参考記事: あの西島秀俊も…増殖する「甘党男子」の好物とは?

 

▼次回は…?

地方の町を盛り上げるためにSNSを活用する
「SNS町おこし」
のシリーズ②について書きたいと思う。

 

【強い影響力と訴求力】マイクロインフルエンサーについて

このブログでも何度か見てきたように、「インフルエンサー」と呼ばれる人々が消費行動に様々な影響を与えている。
ところが昨今、より新しい動きが活性化しているようだ。
それが、今回のテーマとなる
「マイクロインフルエンサー」
である。

マイクロはギリシャ語で「小さい」を表す言葉だが、
主にフォロワーを数千人~1万人程度を持つような、比較的「小さい」インフルエンサーを指す。
彼らはtwitterやInstagramで活動しているケースが多い。
より、「一般的な消費者」に近い存在とも言える。

そんなマイクロインフルエンサーの動きを追ってゆくと「あること」が分かってきた。
いったい、いま何が起きているのだろうか?
今後、どのようなトレンドが生まれてゆくのだろうか?

▼影響力とは何か?

アメリカのマーカリー社が200万人のインフルエンサーについて調査して、ある重大な事実が判明した。

その前に、
エンゲージメント
という概念について見ておきたい。

直訳すると「約束」や「契約」という意味になるが、ソーシャルメディアにおいて
エンゲージメントとは、拡散による効果を表すものであり「繋がりの深さ」を表すとされる。

さて、先ほどのマーカリー社の調べにより、何が分かったのか?
インスタグラムの投稿に対する「いいね!」の割合について調査したところ

フォロワー数1000未満のアカウントでは8%
フォロワー数1000~1万のアカウントでは4%
フォロワー数が1万~10万のアカウントでは2.4%
フォロワー数が100万以上では1.7%

と、減少してゆくことが分かったのである。

関連記事: インフルエンサーマーケティングで大切な指標、エンゲージメントって何?

Markerly-stats.jpg
※図の青い部分がエンゲージメント。縦軸はフォロワー数を表す。

つまり、こういうことだ。
フォロワー数が多い = 影響力が強い
と今までは考えられていたのだが、話は単純ではなく、
フォロワー数が多い ≠ 影響力が強い
という場合もあり得る、ということを示しているのだ。

これは単純な計算問題だ。たとえば、スポーツウェア会社がフォロワー数200万の著名なソーシャルメディアユーザーと契約した場合、多数のオーディエンスにリーチすることはできるものの、その9割はスポーツファンではない可能性がある。それなら、本当のスポーツ好きにフォローされている100人の自称アスリートと契約した方が理にかなっているというわけだ。
引用記事:インスタでいま注目すべきは「マイクロインフルエンサー」:影響力が最大となる最適解

多くの人の目に止まることと、必要としている人に情報が届くかはまったく別の話なのだ。

エンゲージメント率が高いということは、「繋がりが深い」ということ。
少人数ながらも確実に目的としているターゲットに訴求できると考えられているのが、マイクロインフルエンサーなのである。
この性質から、限定されたコミュニティ内で活躍することが多い。
一例をあげておくのでチェックしてみて欲しい。

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▽料理系マイクロインフルエンサー

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▽ファッション系マイクロインフルエンサー

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▽勉強系マイクロインフルエンサー
https://www.instagram.com/p/BNB25SWB33d/?taken-by=study_mako106
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
単にフォロワー数を稼げばというというわけではなく
それぞれの特性を持ったマイクロインフルエンサーもうまく抱え込んでゆく必要があると言えるだろう。
ターゲットがある程度限られる、ニッチな業界・商品においては、マイクロインフルエンサーの方が効果的なケースも多いだろう。

フォロワー数の競争ではなく、サービス・コンテンツの質、多様性を持つこと。
またその点を理解し、測る指標となる「エンゲージメント」を把握することは
今後のインフルエンサー・マーケティングにおいて重要なポイントになるであろうことは間違いない。

カテゴリー: MCN

【MCNのメリット】信用を得るためのMCN活用術

前々から、
「MCNは芸能界で言えば芸能事務所のようなものにあたる」
と説明してきた。

しかし厳密に言えば異なる点もある。
確かに、理解する道すじとしては良いのだが
未だに混同している人は多い。

今回はこの点について見てゆこう。

まずは、改めてMCNの定義を再度確認するところからはじめることにしよう。
MCNは、どのような役割において定義されているのだろうか?

Youtube(つまりその元であるgoogle)が提供している
マルチチャンネル ネットワーク(MCN)の概要
には、こう記載されている。

マルチチャンネル ネットワーク(MCN)とは、複数の YouTube チャンネルと提携し、視聴者の開拓、コンテンツのプログラミング、クリエイターのコラボレーション、デジタル著作権管理、収益受け取り、営業などを含むサービスを提供するサードパーティ サービス プロバイダ

重要なのは、このあとの記述だ。

MCN や他のサードパーティ サービス プロバイダは YouTube または Google が承認支持しているわけではありません

つまり、簡単に述べるとするとMCNは
「Youtubeが認めている存在」
ではないということだ。
MCNだからと言って、特別に守られていたり、特殊な権限を持つわけではない。
利用規約違反となったYoutubeアカウントが利用停止の措置に陥るのと同じように
通常のYoutubeアカウントでしかないMCNもまた同様にアカウント利用停止の措置はありえる。
言い換えると、決してMCNはYoutubeの子会社のような立場ではないのである。

「YouTuberにとっての事務所は、芸能人にとっての芸能事務所のようなもの」
これは初めにMCNを理解してゆく際には非常に理解しやすい概念なのだが
そもそも
・芸能人が事務所を通じてテレビ出演をする
・YoutuberはそもそもYoutubeのプラットフォームではじめから動画を投稿している
という点はまったく異なるのだ。
おまけに特殊な権限も、保証があるわけでもない。
MCNがYoutubeから収益を得ているという点も大きな違いといえるだろう。
(Youtuberの収益の20%、あるいは50%という話もある)

しかし、こう断定してしまうとまるでMCNに所属する価値が薄れてしまっているように思われるかもしれないが、そんなことはない。
社会的信用
を得るためにMCNを活用するクリエイターも多いのだ。
このメリットは非常に大きい。

MCNによって得られる社会的信用について、例を挙げると…

Youtuberが活動を行う上で、いわばオフ会のように
ファンが集まる場所などを集めることもある。
人気ユーチューバーともなると、公園や路上にて行うパフォーマンスが問題になることもよくあるだろう。

そういった場合に、大きな会場を押さえようにも現状Youtuberはあくまで
個人
である。
事務所を通じて、会場の利用申請を行うほうが良いことは間違いない。

もう一点のメリットは、企業側から考えてみると分かりやすい。
何かの新商品の広告宣伝を依頼するとして、
・個人のYoutuber
・MCN所属のYoutuber
どちらに依頼するほうが良いだろうか?

個人だと、満足行くクオリティに届かないかもしれないし期日までに完成するのだろうかという不安を抱く場合もあるだろう。
費用、手数料についてもクリアになることが多い。

個人が自由に表現できる、Youtuberという生き方
しかし、その力を最大限に発揮する、あるいはより大きな影響力を持ってゆくために
MCNは活用できる。
いつ、どこに、どのような形で所属するかそれだけ重要な選択になるだろう。

UUUMに参加する方法!参加するとどのようなサービスが受けられるのか。

引き続き、UUUMの話を続けてみよう。

公式サイトは非常に分かりやすくまとめられている。

現在も精力的に募集を行っており、
Creator Portalを見ると下記のようなサービスを受けられるようだ

◆トレーニング
チャンネルの設計。動画の編集。良コンテンツ作成のためのノウハウについて学べる

◆素材
権利について確認済みの効果音、イラストなどを提供

◆オファー
企業とクリエイターをつなげる

◆講座
交流会や勉強会などの開催情報

◆コミュニティ
掲示板を使い、クリエイター同士が自由に交流できる空間

◆プラン
複数のクリエイターがコラボすることで、新しい企画を構築する。

応募の流れは4ステップにまとめられている。

応募

審査

規約の同意

UUUMに参加!

Youtubeのチャンネルを持ち、アップロードしている動画の
合計再生数
が10,000に達している人であればエントリーが可能だ。

審査は10営業日ほどで完了し、合否が送られてくる。
UUUMの規約を理解し、同意したら口座の情報など、いくつかの個人情報を入力を行う。
ここで未成年の人がいれば、親の同意も必要となるので注意が必要だ。

さらに5営業日ほど。
手続きが完了すれば、YoutubeのダッシュボードにMCN参加招待が送られてくる!
承認すればその翌日からあなたもUUUMネットワークに参加だ。
ポータルサイトからサービスの内容をチェックしよう。
ログインはこちらから。

余談だが、もちろん社員としてUUUMに所属するという選択肢もある。
UUUM>採用
しかし、今後の市場の伸びを考えると、これも面白いかもしれない。
ビジネスSNS「wantedly」にも情報があるので、チェックしてみよう。

日本最大のMCNである「UUUM」は最強のインフルエンサーマーケティング!

今回から数回に分けて、日本最大のMCNである「UUUM」について書いてゆきたいと思う。

まず、UUUMは「YouTuberを抱えるプロダクションというイメージ」を強く抱いている人が多いと思うのだが、
実際はどのような形態なのだろうか。
UUUM株式会社の取締役・高田順司氏はこう語る。

YouTubeの複数のチャンネルを束ねてサードパーティ的に支援するMCN(Malti Channel Network)事業に一番近い

クリエイターのマネジメントや、個々のYoutuberを管理しているという意味においては
確かにプロダクションに近いイメージなのかもしれないが
単に動画を配信することのサポートに徹するだけではなく、
コンテンツを生み出すビジネス
ゲームの開発、グッズの販売、イベント実施
などを行っている。
それがUUUMという巨大事業なのだ。

2014年には、このようなゲームも発表している。
YouTubeの“ゲーム実況向け”アプリ「Yの冒険」–UUUMが公開


HIKAKIN、はじめしゃちょーなどのキャラクターを選択してプレイする横スクロールアクションゲーム

さらに今年、2017年は
アリスマティックとの共同開発により、YouTuberとの仮想恋愛を楽しめる恋愛シミュレーションゲーム
『Youと恋する90日間』
を3月3日にリリース

Youtuberに関連したグッズも販売されている。
アバンティーズ
日向結衣
他にも、UUUM STOREには多数のアイテムが登録されている。
これからもさらに充実してゆきそうである。


こうした試みから、これからのヒット動画が生まれる。

 

このような幅広い活動をまとめる、UUUM株式会社の取締役・高田順司氏はどういった人物なのだろうか。

もともと音楽好きで、音楽に関するメディアに関わる仕事をしたいという希望があった高田氏は
音楽雑誌の編集などを行っていた頃にMy SpaceやYouTubeの誕生といった大きな出来事をリアルタイムに経験し、
有名人にmixiをマーケティングの手法として活用させたりなど、音楽サービスの立ち上げを数年行っていた。

その頃はちょうどPCからガラケー、スマホへシフトする技術革新の時期であり、音楽のサービス・聴き方の変化、サブスクリプションのサービスの節目が来たと言える。
と感じているところにKDDIが台湾のKKBOXというサブスクリプションを日本展開するという話があり、高田氏もそこで、KKBOXやLISMO等の音楽サービスの編成やコンテンツ企画などを行っていた。
そのような活動の中で、
今後は「個人の力」が影響力を持っていく時代になっていく
という確信を得て、いよいよ現在のUUUMに加わることになったのだ。

UUUMの中で担当するのは、「事業開発部門」である。
上にもすでに書いたようにグッズ、イベント、ゲーム製作などを全て担当する。
さらに、海外のMCNとつながりを作ることも需要な役割であり、
海外の方が日本に来て、それを自国に戻ってプロモーション
逆に海外の企業が日本のインフルエンサーを使ってのプロモーション
の企画・運営にも関連している。
動画に限らず、楽しめるコンテンツを幅広く制作している、
UUUMの企画の強さは、こうった高田氏の戦略によるものが大きい。

ここまで幅広く活躍しているマルチチャンネルネットワークはこの日本においてはUUUMだけであり
現在、8か国の会社とパートナーシップを組んでいる。
中国は特殊なネット文化を発展させているが、そのような独自路線の中国向けにも「インフルエンサー・マーケティング」「動画コンテンツの正規提供」などを行うというチャレンジも怠らない。

「みんなでつくる みんチャン!」が中国でも配信スタート!

 

現在UUUMに所属するクリエイターは約3,500名以上、
YouTubeの月間再生回数は20億回を超えるなど、圧倒的なシェアを誇る。
「コンテンツ」「クリエイター」のプロフェッショナル集団として常に時代の流れを先導する立場
それが、UUUMである。

 

MCNの成長とクリエイターの未来

日本ではまだまだ情報も少ないMCNだが、海外では国境を超える一大メディアとして機能している。
海外で特に有名なMCNは「Fullscreen」である。

米ヤフーが買収したいFullscreenってどんな会社?いま流行りのMCNに迫ってみた

FullscreenはYouTube上で人気を誇る、音楽家やシンガー、コメディなどで自分のチャンネルを持つ個人のパフォーマーを抱えており
登録チャンネルは10000
チャンネル購読者は1億5,000万人
月間視聴数は25億ビュー
を誇る。
また、クリエイターたちに技術的なツールを提供する点も強みとして働いている。
自分のチャンネルのアクセス分析や、動画の管理を行うことでクオリティが上がってゆく仕組みだ。
このように、海外には日本ではまだまだ考えられない規模でマーケットが動いている。

また、海外ではゲームの需要が非常に大きい。
「MACHINIMA」はゲーム専門のMCNである。
特に海外ではFPS(一人称視点シューティング)のゲームの人気が高く、様々なプレイヤーや開発者へのインタビューなどが行なわれている。

あくまでこれは海外の一例であり、他にもこういった例が多数ある。
では日本はこれからどうなってゆくのだろうか?

当然、日本ではuuumの動向が重要になるだろう。
2016年に東京、大阪、広島、宮城、愛知、福岡で行われた「U-FES」ではYoutuberに会いたいと集まるファンが集まるばかりか、クリエイターとして成功したい若者の希望を育むイベントになった。

『1000人のYoutuber募集!!』といった広告を様々なサイトに掲載していたuuumだが、
「Youtuberになれば有名になれる?」
「MCNに入れば、あの人にも会える?」
「仕事として収入になる?」
このように考える人はとても多い。
そしてそれを可能にするためのMCNというビジネスモデルが存在するわけだ。
なので日本のMCNの今後の成長は、Youtuberなどクリエイターたちの成長とは切っても切り離せない関係となっている。
(もちろん、個々の発信力、コンテンツ能力が大事なことは当然なのだが)

このように、海外の規模と比較するわけではないが、日本でもYoutuberが個々のつながりを強めたり、MCNをうまく使うことで大きく活躍する場を見出している。
今後は他のイベント、事務所、TVメディアとのコラボも増えるだろう。
前回はYouTube FanFest Japanの規模について書いたが、日本にはまだまだ大きなライブイベントも存在する。
フジロックロッキンなどはもちろんだが、モテワンコンテストといった、1万人を超えるようなイベントにYoutuberが登場する日もあるのではないか。
リアルとネット
ネットとテレビ
これらの垣根は今後も曖昧になり、より新しい価値を提供してくれるに違いない。